平岡少年消防クラブの清水葵生(しみず・あおい)さん(平岡中央中学校3年)が令和6年度全国子ども防災作文コンクール(実行委員会主催、内閣府・毎日新聞社後援)の中学3年生の部で見事、最優秀賞(全国1位)に輝きました。12月25日(水)、清田区役所を訪れ、知野学区長に受賞を報告しました。

知野清田区長と記念写真に収まる清水葵生さん(右)

 全国子ども防災作文コンクールは、地震などの突然の災害が起こっても自ら判断して行動できるよう防災について考え、子供たちの「自ら生き抜く力」を育むことを目的に令和元年から開催しています。今年は6回目でした。

知野区長からお祝い品が贈られました

 清水さんの作文タイトルは「自分の役割」。2018年の北海道胆振東部地震の際に、少年消防クラブで学んだことを活かして停電時を乗り切った体験を綴り、さらに近所の高齢者に声掛けした経験から、万一の災害時には近所や地域の人と人とのつながりが大切であることを述べた作文です。

 書き出しがドラマチックで、読む人をぐいぐいと引き込む素晴らしい作文になっています。

 清水さんはこの日、お母さんや平岡少年消防クラブの指導者、中川昇平岡町連会長らと共に、知野清田区長を表敬訪問。知野区長は「素晴らしい作文ですね。おめでとう」と祝福の言葉をかけました。

 また、知野区長からお祝い品(きよたスイーツ)が贈られ、中川平岡町連会長からも図書券が贈られました。

北海道胆振東部地震=2018年9月6日、清田区里塚

 清水さんは小学校1年生の時から平岡少年消防クラブに入って活動しています。また、清水さんのお姉さんも昨年、全国子ども防災作文コンクールで優秀賞(高校1年)を受賞しています。

 少年消防クラブは小学生から高校生までの子供たちが防火・防災の知識やスキルを学び、地域の防火・防災を担いうる人材となることを目指す団体です。清田区には、清田、北野、平岡、里美、清田中央の5クラブがあります。

 清水葵生さんが受賞した作文は次の通りです。

■「自分の役割」

 あの日は突然やってきた。母と姉と三人で寝ていると、真黒な部屋が急に揺れて目を開けた時には、部屋中の物がガタガタと大きく音をたてて、小さな置物が床に落ちだし「地震」だと気がついた。あの頃9才だったが、今でも、しっかりと覚えている。たしか、前日に台風がきてその日の夜は風がゴーゴーと音をたてて、怖くて母にしがみついて寝たので次の日の夜は、何となく怖くてまた母と一緒に寝たと思う。

 私は小学校一年生から消防クラブに入団していて、災害の勉強もしていた。姉も一緒に消防クラブにいたので、数日電気がつかなかった時に、キャンプでつかっていたライトを母が持ってきたので、家の中をさらに明るくしようと2人で考え、クラブで教えてもらったビニール袋をふわっとかぶせて明るい範囲を広げてみるということをした。初めてやってみたが、本当に部屋の中の明るさが広がって、すごいと思った。他には、お皿にラップをして、洗い物がでないようにしたりとやってみた。家の中でも色々と工夫をしたら、何とか過ごすことができた。そんな時、母が隣のおばさんの様子みてこようかと言ったので、一緒にお隣に行ってみた。お隣さんは一人で暮らしている70才の方で、いつもすごく元気にあいさつしてくれる。その日、会いにいった時は、いまにも泣きそうな不安な顔をしていて、母が大丈夫か聞くと、備蓄はしているので物資は大丈夫だったようで、何とかなっていると。一人でいると不安でそっちの方が辛いと言っていた。

 災害のニュースの時によくテレビで被災した人のお話を聞くことがあるのが、孤独という言葉。こんなとき、本当に孤独は辛い。私は家族といたけど、一人でいる人は、先が見えなく夜は電気もなければ、気持ちが落ちつかないであろう。お隣さんは、私たちとしばらく話していると、笑顔になって、「あなたはいつも ニコニコしているから顔みているだけで、元気になったわ」と言ってくれたのを覚えている。

 今、中学生になって、できることも増えた。力も9才のころより重い荷物だってもてるし、知恵もついてきた。災害の知識もあの時以来、そんなことを意識しているので、多くのことを覚えた。今回、この作文を書くことで思い出したお隣さんの言葉。

 災害の時、もちろん物資は必要だし、そなえることも必要だけど、人と人のつながりは、人にしかできないし、誰かを思いやって行動してみること、助け合っ てみること、声をかけてみることは、すごく大事なことだと思った。これは、年齢も関係ないし、誰でもできること。今回、災害のことを考えることで、私が一番気がついたことだ。もしもの災害は来てほしくないが、その時がきてしまったら、自分のできる色んなことをためしながら、周りの人を少しでも元気にできる 行動をとってみたいと思います。